貯蔵中の玄米に対するプロポリス生物活性分子の抗菌剤としての可能性をin vitro、in vivoで調査しているところである。親水性プロポリス生物活性分子(極性基で、水、酢酸、エタノールに可溶)と親油性(疎水性)プロポリス生物活性分子(無極性基で、ヘキサン、エチルアセテート、塩化メチレンに可溶)をプロポリスエキスから調製した後、ジメチルスルポキシド(DMSO)に添加し、予め玄米から単離したそれぞれ3系統の低温細菌と中温細菌に対するこれらの抗菌効果を調べた。水溶(WSA)、エタノール溶(AEA)、70%エタノール溶(7EA)、塩化メチレン溶(MCA)ヘキサン溶(HA)、酢酸溶(AAA)、エチルアセテート溶(EAA)の抽出試料を0.026g/mlの濃度で用いた。また、クロラムフェニコール(CO)とDMSOをそれぞれポジティブ、ネガティブコントロールとして用いた。最も抗菌効果の高かった低温細菌、中温細菌の系統に対しディスク拡散法により調査した結果、効果の順序は、それぞれCO>MCA>AAA>EAA>HA>AEA>7EA>WSA>DMSO、及びCO>7EA>HA>EAA>AEA>MCA>AAA>WSA>DMSOとなった。 さらに、寒天培地希釈法により生物活性分子の低温細菌への効果をスクリーニングし、EAA、MCA、AEAがコントロールより効果的であることを見出した。また、これらの生物活性分子はガスクロマトグラフ、GC-MS分析により構造に違いがあることが明らかとなった。植菌した玄米を用いたin vivo試験では親油性のHAとMCA、親水性のAEAの揮発性成分がより効果的であることが確認された。 次年度に向けて、玄米貯蔵中の脂肪の酸化抑制に対する生物活性分子の役割を明らかにする実験を計画中である。
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