研究課題
本研究では、和牛の生産形質に関与する遺伝子として、筋細胞の成長と分化を調節する遺伝子であり、増体や脂訪交雑など産肉形質に関与することが知られているミオスタチン遺伝子についての解析を行うとともに、生産性に負の影響を与える遺伝的要因として、黒毛和種に発生する遺伝性の眼球形成異常症についての解析を行った。これまでにミオスタチン遺伝子の機能欠失変異で筋肥大を引き起こすことが知られているが、それ以外にもミオスタチン遺伝子の発現量が減少することで、筋量等の生産形質に影響を与えることが報告されている。そこで、黒毛和種牛のミオスタチン遺伝子について、発現量に影響を与える可能性のある変異を同定するために、イントロン等の領域に黒毛和種の中で塩基配列の違いがあるかどうかについて解析した。その結果、第一イントロンに、黒毛和種の個体間で塩基配列に違いのあることが明らかとなった。この配列はTが繰りかえした配列であり、その繰り返し数が個体間で異なるため、少なくても7対立遺伝子が存在することが明らかとなった。今後この違いがミオスタチン遺伝子の発現の違いを規定しているかどうかを解析していく予定である。眼球形成異常症については、連鎖解析により本疾患の原因遺伝子がウシの第18染色体に存在することを明らかにしているが、本年度の研究により、この領域に存在する一つの遺伝子に疾患の原因と考えられる変異が存在することが判明した。この遺伝子の眼球形成における機能は不明であるが、フレームシフト変異により、この遺伝子の機能は完全に失われていることから、本変異が疾患の原因であることが強く示唆された。本研究の結果、今後、和牛の生産性に負の影響を与えている遺伝性眼球形成異常症の発生を予防するための遺伝子診断が可能となることが期待される。
すべて 2006
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