我々は、今までに体節形成過程をシミュレーションする数理モデルとして、以下の微分方程式を提唱してきた。 dp(t)/dt=am(t-Tp)-bp(t) dm(t)/dt=k/[1+(p(t-Tm)12/p0 2]-cm(t) ただし、p(t):時間tにおけるHes7タンパク質量 m(t):時間tにおけるHes7mRNA量 本モデルによって、未分節中胚葉後端におけるHes7の発現オシレーションをよくシミュレーションできるが、未分節中胚葉全体における発現変動はシミュレーションできていなかった。今回、Fgfシグナル系とHes7の発現オシレーションがリンクすることが明らかになってきたが、そのリンクの詳細については不明である。しかし、培養細胞の実験からFgfシグナルはHes7蛋白の半減期に変化を与えることが示唆された。そこで、上記の数理モデルの中で、bに変動を入れることによって、より実際のHes7の発現パターンに似た変化をシミュレーションできることがわかった。今後、Hes7蛋白の半減期の変化を実測することによって、より正確なシミュレーションモデルを構築する。
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