研究課題
チオレドキシンは105個のアミノ酸からなり、その活性部位の2つのシステイン残基間のdithiol/disulfide交換反応により、抗酸化・抗炎症・抗アポトーシス作用などを示すレドックス制御蛋白である。我々は遺伝子組み換えチオレドキシン蛋白を新規抗炎症剤として開発すべく研究をすすめている。しかしながら血漿中でのチオレドキシンの抗炎症作用の分子機構については未だに不明な点も多い。本研究では、チオレドキシンと結合する血漿蛋白を同定し、血漿中でのチオレドキシンの分子機構について解析することを目的として、チオレドキシンの活性部位のシステインのひとつをセリンに置換したC35Sチオレドキシン改変体がチオレドキシンの基質となる蛋白とdisulfide結合で結合し、還元すると分離されるという性質を利用し、血漿チオレドキシン結合蛋白を同定した。チオレドキシンの活性部位のシステインのひとつをセリンに置換したC35Sチオレドキシン改変体をCNBr-activated Sepharose-4Bに結合させたカラムを準備した。C35Sチオレドキシン改変体結合カラムにヒト血漿単独あるいはwild typeチオレドキシンを添加したヒト血漿を添加し、C35Sチオレドキシン改変体に結合した血漿蛋白を還元剤Dithiothreitol(DTT)で溶出し、二次元電気泳動をおこない、wild typeチオレドキシン添加によりC35Sチオレドキシンへの結合が阻害されて減少したspotを切り出し、プロテオミクス解析を行った。その結果、apolipoprotein A-I, scavenger receptor cysteine rich domain, fibrinogen, albumin, complement factor Hの5つの蛋白(成分)を血漿チオレドキシン結合蛋白として同定した。現在、これらの蛋白とチオレドキシンとの関係について解析し、血漿中でのチオレドキシンの抗炎症作用の分子機構を解析中である。
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