平成19年度はそれまでの文献レビュウをもとに、政府系機関及び企業でのヒアリングを日本、マレーシア双方で実施した。まず日本では中小企業金融公庫において我が国の中小企業政策全般並びに中小企業の海外進出に関連する諸施策の実態について詳細なヒアリングを行った。続いて、旭川において海外進出を果たした中小企業2社(家具メーカー、医療器具メーカー)を訪れ、ヒアリングを行った。それにより、海外進出にあたってのリスクや資金面での問題などが明らかとなった。ただし、北海道内企業の海外進出は限られているため、引き続き本州等でのヒアリングの必要性も浮き彫りとなった。 マレーシアでの現地調査はマレーシア中小企業開発公社、マレーシア貿易公社などでのヒアリングが中心であった。マレーシアの中小企業政策についてはほぼ我が国同様の施策が準備され、制度面では充実したものとなっている。しかし、各種支援策が中小企業に周知されていないなど、実施面での改善が望まれる状況にある。また、マレーシアの中小企業の海外進出についてはその実態がマレーシアサイドでも十分に把握されていない。ただし、企業の規模を問わず、マレーシア企業の海外進出にはマレーシア貿易公社のサポートが得られる状況にあり、具体的な内容についてもヒアリングを行った。また、在マレーシア日系企業でのヒアリングから、マレーシアの下請け企業の一部が日系企業の他国での工場立ち上げの際に日系企業の要望により当該国に進出するケースや技術提携を行っているマレーシア企業と合弁企業を他国で設立するケースなどが明らかとなった。
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