1.京都大学大学文書館所蔵の「三高関係資料」の中、留学生関係文書を調査した。調査時期は、1897年から1912年までである。対象留学生の出身地は、植民地台湾も含めて、それに先立った中国大陸や朝鮮半島などが挙げられる。なお、1913年から1937年までの関係文書は、次年度以降に調査する予定である。それらを解読したうえ、戦前まで三高における留学生の基本データを明確にしたい。 2.一方、中国側の資料を調査するために、中国南京にある第二歴史档案館へ出かけた。1937年以降いわゆる戦時中の日本留学中国人に関する資料の所在を確認した。留学生帰国後、近代中国において政治・行政、教育、銀行などの各領域においていかに活動していたのか、その動向を追跡するために大変貴重な資料であることが確認された。資料の膨大さに加えて、現時点での調査における資料館側の制限により今回の調査は目的を完全に達成できず、今後さらなる調査が必要と思われる。 3.次年度以降は、留学生たちの「学習と生活」の実態を明らかにするために、アジア歴史資料センターや外務省外交史料館所蔵資料を調査する予定である。と同時に、『日出新聞』、『大阪日日新聞』など当時の地域新聞や、学校内の校友会雑誌など関係史料の調査も実施したい。
|