研究概要 |
発生確率の高い南海地震・東南海地震によって引き起こされる大規模堆積盆地における長周期地震動の計算手法の高度化と評価を継続している.今年度においては,大阪堆積盆地を対象として,深発地震の記録を収集し,その特徴を検討した.深発地震においては,岩盤サイトにおいて単純な波形が観測されているが,堆積層サイトにおいては盆地生成表面波が生成して複雑な波形記録となっている.とくに,大阪盆地北東部にあたる河内盆地から上町台地上においては,S波直達波到達後約30秒後に,S波振幅を超える大きな後続動が現れるが,それらの特徴を説明するために,大阪堆積盆地構造モデルを考慮した波動計算を行った.観測に見られている地盤震動特性は,大阪堆積盆地構造モデルによって説明されるものの,十分に説明されているわけではない.観測とシミュレーション結果の違いを明確にするために,盆地域におけるスナップショットを作成し,盆地内における波群の生成伝播に関する特徴を精査するとともに,堆積盆地構造モデルをいくつか変更して,この後続動を説明する領域の精査を行った.この後続動には,大阪堆積盆地の東側の境界形状が重要であるとともに,上町台地の南側の地下構造が主として関係していることが示された.また,数値シミュレーションにおいては,震源域がやや遠いイベントに対して効率的な計算ができるハイブリッド法に用いる一般化された境界条件の与え方を定式化し,数値計算方法の高度化を行った.
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