研究概要 |
平成19年は、空間周期的な反応拡散方程式における進行波解の最小速度及び漸近伝播速度について研究した。とくに、最小速度を最大にする係数を求めるという変分問題を考えた。 変分問題の解を与える係数は、通常の関数ではなく、デルタ関数などの速度であるため、この問題の研究のために、これまで知られていた既存の進行波の理論を、係数が測度の場合に拡張した。 まず、空間周期的な媒体を表す係数が測度の場合に弱い形の進行波を定義し、通常の進行波のような最小速度及び漸近速度を持つことを、弱い形の意味で証明した。 次に、周期的係数の平均値を固定した上で、最小速度と漸近速度の有界性を証明して、最大の最小速度と漸近伝播速度に対応する係数を求めた。この結果,最大の漸近伝播速度を与える係数は、周期的に分列ずるDiracのデルタ関数であることが明らかになった。 19年度の研究機関は、20年6月まで延長した。6月に中国科学技術大学に出張して、研究結果を発表し、進行波の専門家および概周期の動力学の専門家と研究討議を行った.これにより、は空間準周期的な単安定型反応拡散方程式の進行波の研究に関して貴重な情報交換ができた。当初は6月にフランスの会議で研究発表する予定であったが、予定を変更して中国を訪問したことで、本研究課題に関連するより大きな成果が得られた。
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