研究概要 |
研究代表者松村は、外国人特別研究員Li氏と協力し、空問題3次元での圧縮性ナヴィエ・ストークス方程式の等エントロピーモデルに対する初期値問題を考察し、任意のポテンシャル外力が与えられたときに、それに対応する定常解の近傍に時間大域的弱解が存在して、時間と共にその定常解に漸近することを証明した。この問題については、比熱比が適当に1に近いときのみに知られていたものを大幅に一般化したものである。また、北京師範大学のLi氏とも協力し、フォッカー・プランク・ボルツフン方程式の初期値問題に対しても、速度空問題の拡散効果により温度が一様に増大してゆくようなマックスウェル分布が漸近安定であることを示した。この結果は、国際学術誌(Arch.Ration.Mech.Anal.,Vol.189,2008)に掲載された。さらには、中国科学院Fuang氏とも協力し、粘性理想気体の一次元運動を記述する3×3の圧縮性ナヴィエ・ストークス方程式系の初期値問題を考察し,非粘性部分のオイラー方程式のリーマン問題が接触不連続波と衝撃波で構成される場合,対応する粘性接触波と粘性衝撃波の一次結合の合成波について新たな評価を得ることに成功し、現在漸近安定性の証明についての研究が進行している。また、流束が凸関数でない単独の一次元粘性保存則系の半空間上での初期・境界値問題について代表者等が開発してきた重み付きエネルギー法が、移流項を持つ消散型波動方程式の半空間上での初期・境界値問題に応用可能であることを確認した。
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