研究概要 |
共役高分子のラダー系、カーボンナノチューブなどのより広がったナノ系に対してElongation法を適用するとともに非線形光学(NLO)特性を計算し、その適用性と問題点を確認した。さらにラジカルがエレクトロニクスに大きな影響を及ぼすソリトン系やスピン分極系への適用を試みるとともに、高スピン系とそのNLO特性との関連について理論的設計を行った。一例として、共役高分子のラダー系にCUTOFF-Elongation法を適用した結果を以下に示す。全系に対する従来法による全エネルギーとの誤差は10^<-6>au/全系,10^<-8>au/atomを達成し、精度の高いNLO特性が得られていることも確認している。 共役高分子のラダー系にCUTOFF-Elongation法を適用した場合、全エネルギーにおける、従来法による全系計算との誤差は10^<-8>au/全系,10^<-10>au/atomを達成し、精度の高いNLO特性が得られていることも確認した。一方、ナノチューブ系に対してであるが、ホウ素(B)や窒素(N)から成るナノチューブあるいはCNTにおいてBやNが一部含まれる系においては、精度を落とすことなく計算可能であるが、カーボンのみからなるCNTにおいては、10^<4>au/全系,10^<-6>au/atomと、2桁ほど落ちてしまうことがわかった。BNナノチューブにおいては、領域局在化軌道におけるA領域とB領域の境界がB-N結合にあり、結合電子がN側に偏っているのに対し、CNTにおいては、π電子系がチューブ全体に均一に非局在化している。よってCNTを輪切りに切断する面と交わる多くのC-C結合上で、軌道局在化のためにA領域とB領域に分子軌道を分ける必要が生じる。その際に、結合部の電子対をどちら側に含めるか任意性が出てくことが局在化を困難にしていると考えられる。この点は今後の現在技術的な改良を検討しているところである。
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