研究概要 |
色素分子であるポルフィリン分子にヘテロな相互作用を形成させるために、一分子に複数個の官能基を導入することによる分子プログラミングを行い、規則的な自己集合化による超分子ポリマーの構築を謀った。色素分子であるポルフィリンに一次元の超分子ネットワークを構築させるためにカルボン酸フェニル基を導入し、一方、分子の溶解性の向上とポルフィリンの集合化の安定化を狙いデンドリマーユニットを持つポルフィリン亜鉛錯体1を設計・合成した。ベンゼン中での吸収スペクトルにおいて、1は、J-会合体に特徴的な分裂型Soret band(413 and 452nm)を与えた。さらに原子間力顕微鏡(AFM)や透過型電子顕微鏡(TEM)によって、一次元超分子ポリマーの形成を確認することができた。このデンドリマーボルフィリン1の超分子ポリマー溶液(3mL,6.0×10-6M)を200℃において、1.0×1.0×4,0cm石英セル中、無撹搾条件下、CDスペクトルを測定したところ、CDは検出されなかった。ところが、撹拌条件下(φ0,2×1.0cm撹拌子)で測定を行ったところ、非常に強いCD(Δε=200-300M-1cm-1)が得られることがわかった。CDの誘起および符号は、撹拌のON/OFFそして撹拌の向きに即座に応答して可逆的に変化した。また直線二色性スペクトルによって、ナノファイバーの溶液中での挙動を調査したところ、撹拌によってファイバーが主として縦に配向していることが明らかになった。2枚のディップコートフィルムを用いて疑似的に撹拌溶液中のファイバーの配向状態を作りだしたところ、驚いたことにこのフィルムに光学活性が現れた。したがって、得られたCDは1の集合化形態の大きな変化によるものではなく、ポリマーの渦に対するマクロな配向およびコイリングなどが原因と考えられる。
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