研究概要 |
我々は,電気伝導性の電荷移動錯体α-(BEDT-TTF)_2I_3の金属絶縁体転移が強誘電性転移であることを発見し,その特異な分極機構に注目している。その理解には,同様の強誘電転移を示す物質の系統的探索が欠かせない。本研究の目的は(あ)有機導体の強誘電転移を効率よく検出できる光第二高調波発生(SHG)の測定法を確立し,(い)それを用いて新規強誘電体の物質探索を行うことにある。今年度までに,樹脂包埋処理により補強した試料の透過SHG測定に成功した。この方法では,試料を高分子樹脂へ包埋し,高熱伝導基板に密着させることで,非線形光学測定で問題になる励起光による試料温度の上昇を抑えつつ,脆弱な単結晶試料の測定を簡便に実行できる。熱膨張率を考慮した素材選定により試料に加わる応力・ひずみの大幅な抑制を実現し,精度の高い測定を実現した。
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