研究概要 |
我々は,電気伝導性の電荷移動錯体α-(BEDT-TTF)_2I_3の金属絶縁体転移が強誘電性転移であることを示し,その特異な分極機構に注目している。この研究では,同等機構で強誘電転移する試料群を拡大するために,強誘電転移を効率よく検知するための光第二高調波発生(SHG)測定装置を完成させ,それを用いた新規強誘電体の探索を行うことにある。 前年度確立した樹脂包埋処理を利用して,新たに,α-(BEDT-TTF)_2I_2Brが強誘電転移することを明らかにした。さらに,α'-(BEDT-TTF)_2IBr_2において,不均一な分布の強誘電状態が形成されることを発見した。これは,この錯体が,相図上において強誘電相と反強誘電相が拮抗する領域に位置していることを示唆する。
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