初年度は、当初の計画通り、ヨウ化キセノンの紫外放射について実験系の整備と、基礎的なデータ測定を行った。測定の結果、Xe/I_2混合物が253nmの発光であるエキシプレックスXeI(B→X)の放射線源として有用であるという感触を得るに至った。 実験は、Xe/I_2の分圧比が13.3kPa/40Paの混合ガスを用いて二重円筒型のガラス容器の外面に箔状の電極を貼り付け、中空部に金属棒を通した形状の放電管を作成した。この放電管をパルス電圧により誘電体バリア放電(DBD)させ、印加したパルス電圧の周波数をパラメータとして、放射光の分光分布、電気入力のパラメータとして電圧よび電流波形、そして、発光の放射波形を測定した。200-400nmの範囲において放射エネルギーの大部分をエキシプレックスXeIの253nmの発光が占め、最大81%を占めるに至った。AC電圧駆動と比較すると、パルス電圧駆動により、放電が均一化し、253nmの発光効率も向上することがわかった。 また、円筒型の構造で内部の金属電極の表面の材料を変え光の反射率を変えたところ、この内側電極の光反射が効率の向上に大きく寄与することがわかった。そして、60kHzでのパルス駆動では14%の効率と22mW/cm^2のUV放射パワーを達成した。このとき、ガラスの表面クリーニングの効果を水滴の接触角で評価したところ、エキシプレックスXeIの253nmの紫外放射によりガラスの表面を効果的に洗浄できることが示された。
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