研究課題
ダイズは、世界の主要な作物であるが、収量性を影響する開花様式や形態形成に関する生理的ならびに分子遺伝学的機構については十分明らかにされていない。本研究は、形態形成に重要な役割を果たすジャスモン酸合成の鍵酵素をコードするアレンオキシドシンターゼ(AOS)遺伝子を解析してきたKong博士と協力して、ダイズのAOS遺伝子ならびに植物の開花様式を制御するFT遺伝子の機能を明らかにすることを目的として行った。(1)ダイズESTデータベースならびにゲノムシークエンスから、AOS遺伝子およびFT遺伝子を検索し、得られた配列を基にプライマーを設計してPCRを行い、核ゲノムからそれら遺伝子を単離・クローニングの後DNA配列を決定した。また、それら遺伝子の連鎖群上の位置を同定し、既知の早晩性遺伝子や形態形成に関わる遺伝子との対応関係を明らかにし、異なる環境下での発現解析を行った。(2)3個のAOS遺伝子と19個のFT遺伝子を、ダイズ標準品種「ハロソイ」のゲノムDNAから単離し、配列を決定した。同時に、それら遺伝子の連鎖地図上の位置を明らかにした。発現解析の結果、3個のAOS遺伝子のうちGmAOS2の発現が短日により促進され、伸育性の制御に関与することが示唆された。開花後に節の伸長がとまる有限伸育系統ではジャスモン酸含量が著しく高かく、ジャスモン酸がダイブの形態形成に大きな役割を担うことが示された。一方、19個のFT遺伝子のうち、二つの遺伝子(GmFT2aおよびGmFT5a)が短日で強発現し、ダイズの開花にとり最も重要なFT遺伝子であることが明らかになった。
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Bioscience, Biotechnology and Biochemistry (印刷中)
Theor Appl Genet 117
ページ: 479-487
Genetics 180
ページ: 995-1007