研究概要 |
本研究は、lavanducyaninの生合成径路を解明するとともに、その生合成遺伝子群のクローニングと精密機能解析を目的に行っている。平成18年度は、lavanducyanin生産菌、Streptomyces sp.CL190株からlavanducyaninの生合成中間体を精製することを試みた。 Lavanducyanin生産株を30℃で3日間培養後、菌体をアセトン抽出し、アセトンを除去後に酢酸エチル抽出を行った。酢酸エチル抽出液を濃縮し、菌体EtOAcエキスを得て、HPLCで分析した。Lavanducyanin(Rt.25min)はほとんど菌体に蓄積され、またlavanducyaninと同じUV吸収を持つRt.28minのピークやその吸収に似たような吸収でありながら低波長にシフトしたRt.14.2minのピークが検出されたので、lavanducyaninの類縁体であるのではないかと推測し、それらの分離精製を試みた。菌体EtOAcエキスをDiaion HP20カラムクロマトグラフィーを行い、Fr.1およびFr.2と分画した。Rt.14.2minの未知成分を含むFr.1-1およびFr.2-1について、さらにScphadex LH20カラムクロマトグラフィーを行い、2.4mgの未知成分を得た。得られた未知化合物について、一次元NMRと二次元NMR(HSQC, HMBC, COSY)スペクトルを測定し、その詳細な解析に基づいて、その構造は1-hydroxyphenazine(1-HP)であると決定した。この化合物は、Pseudomonas aeruginosa株において、フェナジン代謝産物の前駆体であるphenazine-1-carboxylic acid(PCA)の生合成遺伝子クラスターの下流にあるphzS遺伝子によるPCAの修飾産物であることが示されている。この情報に基づき、平成19年度はlavanducyaninの生合成遺伝子のクローニングを試みる予定である。
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