研究概要 |
1.まず、Pseudomonas fluorescens2-79菌株などのphzFおよびphzC遺伝子配列を参考に放線菌ゲノムに適した縮重プライマーを設計し、Streptomyces sp.CL190株のゲノムDNAに対してPCRを行い、増幅したDNA断片をクローニング、塩基配列を決定することによりphzF遺伝子ホモローグおよびphzC遺伝子ホモローグの確認を行った。 2.CL190株のゲノムDNAをSau3AI等の制限酵素で部分消化し、コスミドベクターであるpTOYAMAcosにクローニングし作製したコスミドライブラリーから、phzCまたphzF遺伝子ホモローグそれぞれとハイブリダイズするクローンをコロニーハイブリダイゼーションによって選抜することより、phzCを含むコスミド7個およびphzFを含むコスミド2個を選抜した。 3.陽性コスミドを異種放線菌であるStreptoniyces lividans TK23株に導入し、形質転換株を培養したが、lavanducyaninの生産は確認されなかった。そこで次に、Pseudomonas sp.菌株のphzDおよびphzE遺伝子配列を参考にプライマーを設計し、上述の陽性コスミドのDNAに対してPCRを行い、増幅したDNA断片をクローニング、塩基配列を決定することによりphzC,phzDおよびphzEのホモローグを含むコスミド(phzCos8)をさらに選抜した。その結果、phzCos8にはphenazine-1-carboxylicacid(PCA)生合成遺伝子群があると示唆されたので、その塩基配列の解析を行った。 4.塩基配列の解析結果より、phzCos8には23個のorfsが含まれ、中には7個の遺伝子から構成されたPCAの生合成遺伝子群が含まれていることが判明した。また、本クラスターはCL190株が主に生産するnaphterpinの生合成遺伝子クラスターのすぐ上流に位置していることも分かった。 5.その他の結果として、naphterpinの生合成に関与するプレニル基転移酵素をコードする遺伝子NphBの破壊株から1-hydroxyphenazineを単離精製・構造同定した。本化合物はPseudomonasにおいて、PCA生合成遺伝子群のすぐ下流にあるphzS遺伝子によるPCAの修飾産物であることから、lavanducyaninの生合成径路の1つの可能な中間体であることが示された。
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