研究課題
Phenazine-1-carboxylic acid(PCA)生合成遺伝子群を有するコスミドphzCos8を異種放線菌であるStreptomyces lividans TK23株に導入した。HPLC及びLCMS分析より、この形質転換株から目的化合物lavanducyanin(LAV)の生産は確認されなかったが、LAVの生合成中間体であるPCAの生産を確認した。次に、PCA生合成遺伝子群(orf11-orf18)最小単位のクラスターのS.albus G153形質転換株を作製し、HPLC分析よりPCAの生産を確認した。phzCos8塩基配列の相同検索結果より、すぐ下流にあるorf9とorf10は他のorfsより相同性が低いことから、LAV生合成に関与するprenyltransferase(PTase)の可能性が考えられたためorf9-orf18クラスターのS.albus G153形質転換株も作製し、HPLC及びLCMSよりPCAの生産を確認したが、LAVの生産は検出できなかった。なお、PCAの構造は形質転換株培養物から分離精製したものを^1H及び^<13>C NMRスペクトルの解析より同定した。phzCos8のS.lividans形質転換株はLAVを生産しないことから、生合成遺伝子群の発現を制御していると考えられるorf8(放線菌の径路特異的転写因子SARPとの相同性有り)の発現量が少ないためではないかと考えられ、pYTM1epvectorにorf8を組み込んだplasmidを作製し、さらにphzCos8_S.lividans株に形質転換した。しかしながら、HPLC及びLCMS分析においては、LAVの生産は確認できなかった。上記の異種発現実験にLAVの生産が確認されなかったため、phzCos8のベクター(pTOYAMAcosからpOJ446へ)の入れ替えを行い、得られたphzCos8/pOJ446をS.albus G153株に形質転換した。同様の手法で、その形質転換体からはPCAの生産しか確認できなかった。よって、LAV生合成のPTaseはphzCos8以外のクラスターに存在する可能性が高いと示唆された。
すべて 2009
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Organic & Biomolecular Chemistry 7
ページ: 1454-1460