我々のグループでは、基質遷移状態概念に基づいて、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤などのペプチドミメティックスのデザイン・合成・医薬化学研究を行って、高血圧、エイズ治療薬、アルツハイマー病治療薬などの創製を行ってきた。本研究課題においては、基質遷移状態をミミックしたイソステアを導入したペプチドミメティック化合物のデザインと合成を行って構造活性相関研究を進め、病原体酵素活性部位を夕ーゲットとした阻害剤の創製をめざした。 具体的には、筋ジストロフィー治療のため、放線菌由来ジペプチド系抗生物質ネガマイシンがジストロフィン発現に有効であることがわかっているのでネガマイシン誘導体の合成を行った。Boc-Glycinalを出発物質として高い収率でネガマイシンとその誘導体の合成に成功した。 また、SARSコロナウイルスの3CLプロテアーゼ阻害剤のデザインと合成を行い小分子化と構造最適化を進めた。ジペプチドおよびトリペプチド型阻害剤を合成し、SARSウイルスに対して有効であることを見出した。 医薬品開発及び疾病診断の強力なツールとして注目されている分子イメージングの手法を本研究に応用するため、分子プローブの作成を試みた。我々のグループで合成したBACE1阻害剤の分子プローブの合成に着手した。
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