研究概要 |
炎症の新規メディエーターHMGB1の細胞外遊離機構 HMGB1は壊死有核細胞のほかに、活性化マクロファー、樹状細胞から細胞外に遊離されて、後期のメディエーターとして作用する。そして、敗血症性ショックの後期の"死"のメディエーターとして働くことを我々のグループは明らかにしているが、その活性化されたマクロファージ/樹状細胞からの遊離の機構に関しては不明の点が多い。一方、我々は、エンドトキシンショックの発症病理として、内因性カンナビノイドであるアナンダマイド、2-AG(2-arachidonoyl-glycerol)が、CB1,CB2受容体を介して大きな役割を果たすことを報告してきた。そしてこの内因性カンナビノイドが、後期メディエーターであるHMGB1の遊離に働くことを見出した。ここに【早期】から【後期】へとリンクするメディエーターの一つが同定されたことになる。 研究の結果、内因性カンナビノイドは、CB1を活性化し、Rac1⇒PAK/MKK7(?)⇒JNKのリン酸化⇒HSF-1のリン酸化を引き起こすことが判明した。HMGB1の核外から細胞質、さらに細胞外への遊離にもこの経路が働いているものという結論に達した。
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