研究課題
日本初の赤外線天文衛星「あかり」は2006年2月22日に成功裏に打上げられた。我々は、この「あかり」のもたらす観測結果を対象として、以下の研究を行った。1.「あかり」は、過去における急激な銀河進化を検出すると期待されている。ただし、そのためには、source confusionの影響を正確に見積もる必要があるため、我々はまずconfusionの評価を行った。2.検出限界以下の天体については、遠赤外線背景放射の揺らぎを測定することにより調べる。そのために、我々の理論的なsource countモデルと、観測結果との詳細な比較を行った。3.銀河の色を詳しく調べることにより、銀河のタイプを区別することができることを、我々は理論的に示してきた。このことを実際のデータに適用することにより、銀河のタイプ別の進化を明らかにした。さらに、実際の観測データを用いて以下の研究を行った。4.「あかり」の観測と、以前の赤外線衛星IRASの観測との比較を行った。その結果、「あかり」とIRASとで、観測結果がよく一致する天体もあったが、かなりの天体については、「あかり」観測結果がIRASよりも系統的に暗い傾向を示すことがわかった。これら食い違いを示す天体を詳細にしらべたところ、IRASでは空間分解能不足で詳細がわからなかった天体が、「あかり」の優れた空間分解能により実際に分解され、観測結果に相違がでたということがわかった。
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Monthly Notices of the Royal Astronomical Society Vol.369,Issue 1
ページ: 281-294
Publications of the Astronomical Society of Japan Vol.58,No.4
ページ: 673-694