研究概要 |
実験はab面に偏光が平行となる配置で行いCuサイト、Mnサイト、Ni, Coサイトの3つをそれぞれの吸収端でEXAFSを室温から5.1Kまでの範囲で、精密データを収集し、解析した。まずCuサイトの格子(酸素原子)は100K以下で動的な格子歪みをもつドメインにあるが、動的な格子歪みは超伝導較移でコヒレンスが成立し見かけ上、消失したようにみえるが、より低温で再び動的歪みが発生し低温でその傾向が増大する。これに対して超伝導にならないNi, Coドーピングではこれらのドープ金属は静的ドメインにある。Mnドメインは中間的な挙動を示す。すなわちドープ量が小さいときはCuと同じく動的格子歪みをもつが、ドープ量が増えて超伝導転移がぼけた試料では格子歪みは存在するものの通常の超伝導にはならない。この状態はドメインサイズがコヒレンス長にいたらない状態と考えられる。これらの結果から、(1)超伝導には動的格子歪みが必要、(2)ドープにより超伝導が消失する金属は静的格子を周囲につくる。(3)高温超伝導にポーラロンが関与することを示す。これらの内容はPhysical Review Letters投稿中である。
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