研究概要 |
ナノワイヤーなどの1次元ナノスケール物質はナノチューブとともに、次世代の新機能性物質として注目されている。特に、ZnOやZnSはワイドギャップ半導体として、化学的・熱的に安定であり、紫外線レーザーやガスセンサーなどの応用が期待される重要なナノ物質である。本研究ではZnOやZnSなどのワイドギャップ半導体の新規な合成法の開発とその機能特性を解明することである。 1次元ZnOナノワイヤーを溶液法により成長させ、その電界放射特性を明らかにした。ZnOナノワイヤーの先端チップを約5nmまでに細くし、さらに金属微粒子でチップ表面を処理する新しいプロセス法を開発した。その結果、約2V/umの低い電圧下で、約1mA/cm^2という大きな電流値を得ることに成功した。本結果は、ZnOナノロッドが電界放射材として実用化できることを示す重要なデーターである。 一方、ZnSについては、種々の合成条件を最適化することによりヘリカルな構造を有するZnSナノロッドを合成することに成功した。そして、この物質が紫外線を発光する現象を確認した。また、単結晶ZnSのナノベルトを高い収率で合成するCVD法を開発することに成功した。ナノベルト幅は5-30nm厚さで、その厚さは1-6nmと極めて薄いナノシートであるのが特徴である。サイズが小さいことから、0.45eVだけブルーシフト現象を起こすなど、量子効果現象が確認された。 なお、本成果はAdvanced Materials, The Journal of Physical Chemistry, Applied Physics Lettersなどの国際一流雑誌に受理され、現在印刷中である。
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