乾燥、高温等の環境ストレスによって大豆の種子に裂皮(種皮の亀裂)が発生し、外観品質が悪化して商品価値が低下する。特に、納豆、煮豆等、種子の形で流通する商品においては裂皮の発生は致命的であるため実需者から高度抵抗性品種の育成が強く求められているが、年次によって裂皮が多発する。本研究では、難裂皮性品種と易裂皮性品種の交雑後代を供試し、裂皮抵抗性のQTL解析を行うことにより選抜マーカーを開発するとともに、準同質遺伝子系統を育成して生化学的メカニズムを解明するため、難裂皮性品種「エンレイ」と易裂皮性品種「ナスシロメ」とのF_3系統(100個体、各30個体)を圃場で栽培し、個体ごとに開花日を調査した。開花始40日後に上位半数の葵を摘除し、裂皮の発生を促した。成熟期に種子の裂皮指数(裂皮無:0〜甚:4)を1粒ごとに評価し、系統の難裂皮性を調査した。さらに、成熟期、英数、子実重等の生育特性を評価した。そして、MAPMAKER/EXP. ver.3.0を用いて連鎖地図を作成し、OTL Cartographer ver.2.0を用いて、composite interval mappingによって開花まで日数、成熟まで日数、裂皮指数、莢数、子実重、100粒重のQTL解析を行った。 その結果、開花まで日数を支配するQTLが4個、成熟まで日数を支配するQTLが3個見いだされた。莢数、子実重、100粒重を支配するQTLが、1個ずつ見いだされた。また、難裂皮性を支配するQTLが4個見いだされた(C2連鎖群、D1b連鎖群、J連鎖群、M連鎖群)。C2連鎖群の難裂皮性QTLは、子実重および100粒重を支配するQTLと重なっていた。さらに、J連鎖群の難裂皮性QTLは英数を支配するQTLと重なっていた。
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