研究概要 |
本研究では、BALB/cマウスを1)清浄空気群(4.58μg particle concentration/m3),2)NRDE曝露群(146.86μg/m3),3)清浄空気+LTA(50μg)群,4)NRDE曝露+LTA群の4群に分け、5時間/日、5日間/週の条件で4週間の曝露を行った。LTA投与は、毎週1回腹腔内投与で行った。曝露終了後に、海馬依存的な学習.行動への影響を調べるために、モリス水迷路試験を行った。その結果、NRDE曝露とLTA投与を受けた群で、最もプラットフォームへの到着までの時間が長く、学習能力が低いことが明らかとなった。次に、リアタイムRT-PCR法を用いて、海馬における記憶情報の伝達に重要な働きをしているグルタミン酸受容体NR1,NR2A,NR2B mRNAs発現を調べたところ、NRIとNR2BのmRNAの発現がNRDE曝露とLTA投与を受けた群で対照群に比べ有意に高まる結果が得られた。また、炎症性サイトカインIL-1βとTNF-α mRNAsの発現も、NRDE曝露とLTA投与を受けた群でもっとも高い値を示した。それらの結果から、NRDE曝露は炎症を誘導する物質との併用では、海馬における記憶関連遺伝子の発現、およびマウスの学習.行動にかく乱作用を誘導する可能性が示唆された。
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