研究課題
本研究の目的は、恒星質量ブラックホールから、数億光年の彼方の銀河たちの中心にある巨大ブラックホールまで、さまざまなブラックホールへの質量降着を理解することである。理研および英国の研究者と協力することにより、稼働中の「すざく」衛星に対し、2つの観測提案を行うことができた。観測対象は、濃いガスに隠されていると考えられる巨大ブラックホールで、「すざく」の優れた性能利用し、ガスを透過してくる硬X線を検出するものである。英国および米国の共同研究者の協力し、南米チリにあるVery Large Telescopeと呼ばれる光学望遠鏡に、観測時間を確保することができた。この観測の目的は、GX 339-4と呼ばれるブラックホール連星の、ひじょうに早い光変動を捉えようとするもので、可視光と同時にX線の情報も得る必要があるので、米国のRXTE衛星に対しても同じ天体の観測時間を申請している。G.Miniuttiらと協力し、ブラックホールの周辺で強い重力の効果により、光線が曲がるという一般相対論的効果を研究している。この効果は、X線スペクトルに無視できない効果をもつが、どこまで普遍的かまだ不明な点が多い。そこで本研究では、宇宙背景放射の性質から、逆にそうした「光線の曲がり」効果を受けている巨大ブラックホールがどの程度の割合で存在するか、制限をつけることを試みている。初期成果は、12月に京都で開催された「すざく」国際研究集会のさい、P.Gandhiによりポスター発表された。
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Proceedings of "The Extreme Universe in the Suzaku Era", Kyoto, December 2006. (in press)
Monthly Notices of Royal Astronomical Society 373
ページ: L.1-L.5