研究課題
本研究の目的は、恒星質量ブラックホールから、数億光年の彼方の銀河たちの中心にある巨大ブラックホールまで、さまざまなブラックホールへの質量降着を理解することである。今年度はX線と可視光を用いた観測により、以下のように、大きな成果を挙げることができた。稼働中の「すざく」衛星を用いた観測的研究では、活動銀河核(銀河の中心にある巨大ブラックホールにガスが降着しているもの)のうち、濃いガスに隠されている数個の天体のデータを、理研や東大の研究者と共同で解析した。その結果、ブラックホールを包むガスが、ぶ厚いドーナツ状の分布をすると考えられる天体と、薄い円盤状に分布すると考えられる天体という、2種類があることを発見した。これまですべて活動銀河核は前者と考えられていたので、この結果は、従来の定説に大きな変更を迫るものである。南米チリにあるVery Large Telescopeと呼ばれる望遠鏡を用いた観測では、ブラックホール連星GX339-4から可視光で、1秒以下の速い変動を検出することに成功した。さらに同時に取得された米国RXTE衛星のX線データと比較したところ、可視光とX線の強度変動の間に、きわめて興味深い相関があることを発見した。X線は相対論的プラズマからの逆コンプトン放射、可視光は同じプラズマからのサイクロトロン放射かもしれない。現在、結果の物理的な意味を考察している。
すべて 2008 2007
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (1件)
Publications of Astronomical Society of Japan 60(印刷中)
Astronomy & Astrophysics 479
ページ: 389-396
Monthly Notices of Royal Astronomical Society 382
ページ: 1005-1018