研究概要 |
本研究では、サイズの揃ったポリマー粒子が規則配列した構造をスピンコート法により作製し、この規則構造を利用して酸化チタンの階層的マイクロ/ナノ構造アレーをパルスレーザーアブレーション法により作製した。350nm径の単分散ポリスチレン(PS)球体の2.5wt%分散液をスピンコーティングによりSi基板上に展開することでPS単層コロイド結晶を自己集合的に作製した。Si基板上に得られたコロイド結晶をパルスレーザー蒸着装置に入れ、ターゲットに対してオフアクシス位置に設置した。Nd:YAGレーザー(10Hz,355nm,100mJ/pulse)を用い、ルチル型の酸化チタンターゲット表面上で2mmに集光照射した。蒸着は6.7PaのO_2雰囲気中で30分間行った。作製直後の試料のFE-SEM像から、PS球の上にナノピラーが成長しているのがわかった。また、TEM像からナノピラーはたくさんのナノブランチから構成されているこどがわかった。制限視野電子線回折像からこれらのピラーはアモルファスのTiO_2からできていることがわかった。このような構造を650℃空気中で熱処理するとアモルファスからアナターゼに変化し、この熱処理過程でTiO_2ピラーの下に付いているPS球は完全に除去された。作製直後の試料のぬれ性を接触角計により測定した結果、水滴を落とした0.250秒後には接触角がほぼ0゜になり超親水性を示した。このような超親水性はTiO_2の親水性と階層構造に起因する表面荒さによって引き起こされていると考えられた。
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