1. 後頭葉にある1次視覚皮質は、網膜における位置情報が正確に保たれている。皮質におけるこの位置情報の反映をレチノトピーとよぶ。2種類の視覚刺激と高分解能機能的磁気共鳴イメージング法をもちいて、データ採取条件、視覚刺激方法を至適化することで、ヒトにけるレチノトピー情報が10分程度のデータ採取時間で検討可能なった。 2. 1次視覚皮質では、視放線を介して情報の受け取りがおこなわれている。拡散テンソル画像法は脳内白質における神経線維の走行を可視化させるあたらしい画像法である。脳内白質をほぼカバーする撮像範囲で、拡散テンソル画像データ採取を可能とした。神経線維走行評価には、高性能PCを使用し、現在理論的にもっとも詳細な走行評価が可能なProbabilistic Tracking法を採用した。 3. 高分解能機能的磁気共鳴イメージング法でえられたレチノトピー情報と、拡散テンソル画像法からProbabilistic Tracking法をもちいて視放線の1次視覚皮質への接続性の詳細な評価をおこなった。 4. 視覚皮質が保たれているものの、脳出血により視放線の障害をきたした視野障害患者に対して、レチノトピーの検討と、視放線の視覚皮質への接続性評価をおこなった。レチノトピー情報は、視野障害を正確に反映した結果が観察された。また、視野障害から臨床的に想定された障害を受けた視放線の走行も、損傷情報を正確に反映した結果となった。 5. 以上より、われわれの構築した手技は、ヒト視覚皮質の機能を詳細に検討可能であることが証明された。これらのデータは、臨床用1.5T装置によって得られたものであるが、来年度は3T装置を使用して、より高空間分解能なデータ採取を施行する。
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