研究はいくつかの関係する複数のラインに沿って行なっている。まず第一に言語が世代間を通じて継承されるプロセスの形式的な特徴付けによって、言語変化に関する理解と、われわれの言語能力の系統的進化の理解を深めることができた。いままで言語の研究には使われてこなかった統計的手法を用いることにより、世界中の言語の型のかたよりは間接的にしか、われわれが言語を習得する際のバイアスになっていないかを示すことができた。次に、以前のモデルではMDLに基づいた文法獲得のモデルを提案したが、それを自然言語のコーパスの解析へと拡張した。以前のモデルが単純化された「おもちゃ言語」に依存していたのに対し、今回の成果はそれが自然言語に関しても効果的であることを示している。 同様な視点から、最初の頃の人類が話した言語の単語の性質にもみることができる。現在、そうした原始的な言語が現在の言語のような指示子を持つかどうか、それらは一語文的で命題的なものであるか、について大きな論争となっている。コンピュータのモデルを使って、そうした2つのタイプの言葉を持つ言語の進化をシミュレーションでき、条件によってどっちが進化しやすいかを示すことができる。さらに重要なことに、そのモデルは半一語文的な構造を生成し、つまり原始言語にはもっと他の言語タイプがあったんじゃないかということを示唆している。これらの結果は2つの主要な雑誌に収録され、別の1報の雑誌論文と会議論文がそれぞれ審査中である。
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