研究概要 |
2006年11月末に来日したヤニック・クラン氏は,本研究代表者の指導の下,下記の研究活動をおこなった。まだ来日して半年にも満たないため出版された業績はないが,今後の発展が期待される。 (1)1次元酸化物BaRuO3の合成を行い,その熱電特性を調べた。この系は室温付近から擬ギャップが成長する系として知られるが,クラン氏はこの系のホール効果を精密に調べ,ホール係数が低温で一桁以上増大することを見出した。これは擬ギャップの最も直接的な証拠である。 (2)さらに彼は,BaRuO3のCrおよびRh置換を行い,その電気物性がどのように変化するかを調べた。その結果,擬ギャップは置換に対して壊れないこと,Rh置換では電子バンドにキャリアがドープされていることがわかった。このことは擬ギャップの物理的起源に対して重要な手がかりをあたえていると思われる。 (3)これらの結果をまとめ,現在論文を執筆中であり,6月に韓国チェジュ島で開催される熱電変換国際会議で発表を予定している(すでに登録済みである) (4)2007年3月には大阪の産業技術総合研究所の舟橋良次博士を訪れ,熱電酸化物に対する議論を行った。
|