前年度から行ってきた基礎調査に基づいて、各条約とその締約国会議などでの論議動向を分析し、それらの条約相互間での協調行動の可能性を検討した。また、それらの調査の補充と新たな動向の把握を目的として、インドのニューデリーおよびチェンナイにおけるインド政府関係者との協議(2007年7〜8月)、生物多様性条約ABSおよび8条j専門家会合とサイドイベント(2007年10月)などに参加してヒアリングと資料収集を行うとともに、この研究の途中成果を発表して論議を深めた。同様に、国連大学や明治学院大学などで開催された研究会合においても途中経過の発表と論議を行った。 これらの分析・検討過程の上に、伝統的知識の保護とその保有者への利益配分のために有効かつ実現可能性のある制度的枠組み、基本項目および実施手法などを選定する作業を行った。その際、この研究で取り上げる諸条約間において別のテーマの下で行われている調整・協調の実態についても調べて参考とした。同様に、国際組織や国際NGO相互間において行われている調整・協調も参考とした。 このほか、知的財産に関わる分野の相互関係についてのガイドブックを作成してきている。関連する分野とは、たとえば、アーユルベーダのような伝統的な医療および健康管理、薬草栽培や農業などであり、それらに関わる伝統的知識の維持と保護の必要性を検討した。このガイドブックはハンディサイズのデザインで編集が進められており、2008年5月にドイツ・ボンで開催される生物多様性条約の第9回締約国会議で配布される予定である。
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