前年度に収集した文献資料や構築したGISデータ、検討した手法に基づき、LANDSAT衛星画像データを用いて都市全域および都市周縁部の特定地域における土地利用・被覆変化を分析した。次に、地方計画主体によって提供されたマスタープラン(MP)および土地利用地図を用いて、その変化の過程を分析した。また、都市化された地域においてコントロールされていない開発を対象に、特に都市建設が農地や他の種類の土地資源をどのように開発する形で行われてきたのかに注目して現地調査を行った。これらの比較を通じて、都市マスタープランの実施状況を評価した。その結果、以下の点が明らかになった。1.インナーシティと新しい衛星都市との間の地域での土地利用変化は最も速くかつ複雑である。1998年マスタープランと現在の都市化地域とを比較すると、緑地・農地として計画されていた都心部に近い西部地域に既に小規模開発が入り込んでいることがわかった。他方で、郊外部で住居地域として計画されていた地域はそれほど開発が進行していない。 2.1998年MPで考慮されていなかった要因があり、MPの実現が効果的に行われず土地資源の非効率な利用をもたらしている。プランの実現が芳しくない要因として市場主義も指摘できる。過去数年間の地価高騰により、土地補償金をより多く支払わなければならなかったため、ディベロッパーが詳細計画の変更を行った。また、人々の居住に関する考え方も変化した結果、住居地域の土地投機が盛んになった。加えて住宅供給のアンバランスも要因のひとつであり、ディベロッパーは低所得者向け住宅よりも高中所得者向けの住宅の開発を優先している。このことが、都市郊外部での住宅の増加に繋がっている。
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