研究概要 |
大規模な直接数値シミュレーション(DNS)を用いて,層流-乱流間の遷移域を含む低レイノルズ数での平行平板間流れ(チャネル流れ)の解析を実施した.特に,熱流動特性に有意な影響を与える大規模な間欠性(パフ)の構造解析を行った.また,パフ発生の実証を得るために,チャネル水路を構築し,可視化実験を行い,パフの発生条件(レイノルズ数等)をDNSと比較検討し,チャネル流中のパフが,DNSと実験で同程度のスケールと形状を有して発生することを確認した.乱流を維持し得る臨界レイノルズ数は,バルクレイノルズ数で約1500,パフが現れるバルクレイノルズ数域は1500〜2800であった.乱れが間欠的となるレイノルズ数域を知り得たことで,信頼性の高い熱交換器の設計,冷却材の必要流量の推定などの向上が期待できる.また,臨界レイノルズ数の決定は,流体力学の安定性問題において,重要な指針を与えるものである. また,チャネル乱流において異なる速度境界条件(クエット流れ)の実験を行い,回転(コリオリ効果)の影響下にあるときの安定性問題に取り組んだ.レイノルズ数と回転パラメータの変化により,乱流に遷移(不安定化)や逆遷移(安定化)が起こり,特徴的なセル構造の発生が観察できた.本研究ではその流れの状態と構造の分類を行った.回転系のチャネル流における流動特性が,コリオリ効果により大きく変化することを見出し,同流れ場におけるDNSも実施して,ダイナミクスの理解を進めた.得られた知見は,回転系の流れ場,例えば地球大気の流れや,タービン内などの回転流の理解に寄与する. これらの知見について広く国内外に公知し,専門的な意見を交換するため,本研究結果を国際会議や学術雑誌に投稿,もしくは執筆中である.
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