研究課題
1.目的高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1)ワクチンは、ヒトへの皮下接種において免疫応答が低いことが知られている。またワクチン株と流行株が一致しないとワクチンの効果が期待できないが、流行前にどの株がパンデミックを起こすのか予測することは難しく流行前にパンデミックワクチンを準備しておくことは困難である。より効果的なワクチン方法の開発を目的とし、マウスをもちいてアジュバント併用経鼻ワクチンのH5N1亜型内での交叉防御効果の検討を行った。2.材料と方法ワクチンにはホルマリン不活化全粒子ワクチンNIBRG14(H5N1)を用いた。粘膜アジュバントには合成二重鎖RNAでありヒトへの投与実績のあるPolyI : PolyC_<12>U (Ampligen(【○!R】))を用いた。ワクチンを1μg単独もしくはアジュバントと共にマウスへ4週間隔で2度経鼻又は皮下接種した。接種2週間後の血清中、鼻腔洗浄液中のウイルス特異的な抗体価をELISAで測定した。さらにワクチン接種2週間後に強毒株A/Vietnam/1194/2004(H5N1)、A/HK/483/97(H5N1)、A/Indonesia/6/2005(H5N1)を1,000PFU経鼻感染させ(2μl/片鼻)、感染3日後の鼻腔洗浄液中のウイルス価をプラークアッセイ法にて測定し、マウスの生存率を14日間観察した。3.結果と考察皮下接種群ではワクチン特異的な血液中のIgG抗体応答が、経鼻ワクチン接種群ではワクチン特異的な血清中のIgG、鼻腔洗浄液中のIgA抗体応答が誘導された。両群はワクチン株と感染ウイルス株が一致した場合、致死的なウイルス感染に対して防御が可能であったが、感染ウイルス株が異なる場合、経鼻ワクチン群で交叉防御効果が高かった。このことからワクチン株と抗原性が異なる株が流行を起こしても、経鼻接種により交叉感染防御できることが期待された。
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