18世紀末-19世紀初頭のロシアにおけるピクチャレスクと崇高 モスクワのロシア国立図書館にて、シャリコフやイズマイロフなどの19世紀初頭の旅行記や、画家マルティノフに関する文献を収集した。目下、ロシアにおける「ピクチャレスク」概念の変遷を示す資料としてこれらを読み進めており、近日中に論文にまとめる。また、「ピクチャレスク」と密接な関係を持つ崇高論や視覚概念の問題の検討も引き続き行っており、2006年夏には、モスクワで発行された雑誌にロシア語論文を発表した。 18世紀ロシアの頌詩とギリシア・ローマ モスクワのロシア国立図書館、ペテルブルクのロシア国民図書館にて、18世紀後半のロシアの宮廷詩人ペトロフの全集(1811年刊)や同時代の雑誌資料などの文献を収集し、それらに基づいてエカテリーナ期の古典古代表象の問題を扱った論文を執筆し、学術誌『スラヴ研究』に受理された。また、この問題と密接に結びつく対トルコ戦争期のロシア国家像を扱った報告を9月に日本18世紀ロシア研究会で行い、論文を執筆した。また、同じ問題をより広い文化史的コンテクストを考慮して考察した報告を3月に北大スラヴ研究センターで行い、目下論文化に取り組んでいる。 論文・学会報告 (1)ロシア語論文「ムラヴィヨフ、ラジーシチェフの作品における『視覚』のモチーフとヨーロッパ啓蒙主義というコンテクスト」をロシアの雑誌に発表(2006年1月受理) (2)論文「エカテリーナの『壮麗なる騎馬競技』とペトロフの頌詩」を学術誌に投稿。掲載決定済。 (3)報告「第一次対トルコ戦争(1768-74)期の頌詩におけるロシアの自己表象」を日本18世紀ロシア研究会にて行う (4)報告「エカテリーナ二世期のロシア国家の表象」を北大スラヴ研究センターにて行う。
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