研究概要 |
1.ATLLと制御性T細胞の関係 制御性T細胞のmaster gene, FOXP3の発現をATLLの組織において確認した。陽性群および陰性群において、その病理学的特徴、臨床的特徴を比較し、以上のまとめを論文として作成、現在投稿中である。 2.非定型的濾胞性リンパ腫の解析 非定型的濾胞性リンパ腫の中で、その分化段階が正常と著しく異なるMUM1陽性CD10陰性のものに関して、臨床病理学的な特徴を解析し、そのまとめを投稿、受理された(上記3)。また、濾胞性リンパ腫のもっとも特徴的な癌遺伝子であるbcl2について、それを発現していないものについてp53などの他の癌関連遺伝子の発現を調べ、論文化した。現在投稿中である。 3.バーキットリンパ腫の解析 バーキットリンパ腫(BL)は比較的まれなリンパ腫で、おもにアフリカ、ニューギニアに多い。しかし、これらはendemictypeと呼ばれ、ほぼ前例にEB-virusが関与しているが、日本での発症例で同ウイルスが関与していることは非常にまれであり、sporadic typeと呼ばれる。これら2typeのBLは生物学的特徴が異なると考えられるが、その点はあまり検討されていない。またBLは8番染色体上のc-myc遺伝子の転座が特異的であり、病態形成に決定的に関与しているとされている(Diebold J et al. Burkitt lymphoma In : Jaffe ES et al. eds.Tumours Haemotopoietic and Lymphoid Tissues.Lyon, France : IARC Press;2001:181-184)。しかし、しばしば転座陰性のものが存在し、これらはBurkitt like lymphoma(BLL)と呼ばれるが、c-myc以外のどの分子が病態に関与しているのかは不明である。 これら、BL, BLLにおいて、cmyc遺伝子の転座の有無、およびCD10,bcl2などの蛋白の発現がどのように影響しているかについて、検討を加えた。現在データは揃ってきており、今年度中に論文化する予定である。
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