当初の計画通り、本年度は白葉枯病菌のゲノム情報を利用して集中的にタイプIII分泌機構(TTSS)に依存して分泌されるタンパク質の同定にあたった。 1.これまでに同定している白葉枯病菌HrpXoレギュロン(Furutani et al. FEMS Microbiol.Lett. 2006.259:133-141./Accepted 27 March 2006.)の産物(計11ヶ)がTTSSにより分泌されるエフェクターをコードしているかについてカルモジュリン依存アデニール酸シクラーゼレポーターシステムを利用することにより検討した。その結果、そのうちの5つが新奇エフェクターをコードしていることが明らかとなった(投稿予定)。 2.植物病原細菌の既知エフェクタータンパク質のいくつかにおいては、特徴的な配列をもつことが報告されている。そこで、本配列をもちエフェクターをコードすることが予想される候補遺伝子、あるいは既知エフェクターのホモローグをコードする遺伝子を白葉枯病菌のゲノム配列情報より探索した。その結果、200を超える遺伝子が見出された。これらエフェクター候補遺伝子産物について1.と同様の手法でTTSSに依存して植物細胞内に分泌されるかを検討しているところであり、これまでに1.で同定されたものを含めて少なくとも17の遺伝子産物が宿主イネ葉および非宿主であるトマト葉の細胞内にTTSSに依存して分泌されることを確認している。
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