2年目の19年度は、まず1年目におこなった在外公館員の履歴・活動調査の結果を整理し、その成果を「清末公使館員表(1876〜1894)」として公表(平成17〜19年度科学研究費助成金(基礎研究(C))「中国近代外交史の基礎的研究-19世紀後半期における出使日記の精査を中心として」研究代表・岡本隆司、2008年3月、第4章)、この表により在外公館の全体的な構成を見渡すことが可能となった。この基礎研究をもとに洋務時期の在外公館における伝統からの連続面と変容面とを論じた「在外公館の伝統と近代-清末洋務時期の在外公館とその人材」と題する論考を20年度中に公表する予定である(岡本隆司・川島真編『中国近代外交の胎動』、東京大学出版会、第5章)。 また、本年度は中国において近代的外交制度が確立するうえで重要な意味を有した外務部時期の人事制度改革を扱い、中華民国初期まで視野に入れた上で、職業的外交官の登場過程を考察、「職業外交官的培養-以外務部的改革為中心」と題し、台湾の中央研究院近代史研究所で口頭報告を行った(近代史研究所他主催「外交档梢案的典藏與利用研討會」、2008年2月23日)。この口頭報告をもとに、加筆・改訂を行った「外務部人事制度改革再考」と題する論考を20年度中に公表する予定である(森時彦編『20世紀中国の社会システム』、京都大学人文科学研究所、2008年9月予定)。このほか、鈴木智夫氏の著書『近代中国と西洋国際社会』(汲古書院、2007年7月)の書評を公表する(『洛北史学』第10号、2008年6月)。
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