2006年度は九月にアメリカ合衆国・シアトル・ワシントン大学でおこなわれた第39回国際漢藏語学会に参加した。そして、チャック語において「いく」と「くる」をあらわす動詞について形態統語論的分析をほどこした"Come and Go in Cak"と題する研究発表をおこなった。十一月にはネパール・カトマンズ・トリブバン大学でおこなわれた第12回ヒマラヤ諸語会議に参加した。そして、チャック語にみられる動作の方向性をあらわす助動詞と格標示の関係について"Case marking and directional auxiliary verb in Cak"と題する研究発表をおこなった。十二月から一月にかけてバングラデシュ・チッタゴン丘陵のバンドルバン(Bandarban)を訪問した。そして、現在執筆中である博士論文「チャック語の記述言語学的研究」に関連して、チャック語文法全体にわたってみなおし作業をおこなったほか、ウスイ語の基礎語彙や民話資料収集もおこなった。一月から二月にかけてはビルマを訪問した。そして、チャック語と系統的にもっともちかい言語のひとつといわれるカドゥー語とガナン語について、予備的調査と資料収集をおこなった。
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