研究概要 |
平成18年度は神経スパイク時系列からヒストグラムを作成する際の最適ビン幅の数理理論,及びデータからの最適ビン幅の導出方法についての研究を行った.これらの成果は学会・ワークショップ・セミナーで発表し,また紀要・学術誌へ投稿・受理された. 国際学会Neural Information Processing Systems 2007(カナダ・バンクーバー)へ投稿した紀要は高い評価を頂き,スポットライトポスターとして口頭発表の機会を得た.この学会の紀要は論文からの引用も多く,我々の仕事の周知に大いに役立った. ヒストグラムの最適幅の理論及びその実践的な選択の手法についてまとめた論文はNeural Computation誌に受理された.本論文では予定していた研究課題[実データへの適用]を行っている.具体的にはサルのMT野(視覚運動野)からの神経細胞記録へ手法を適用し、その有効性を検討した.さらに本論文は研究課題[最適幅予測の問題]・[データからのスケーリング則の同定]に対して与えた手法の有用性も検討している. 実データへ手法を適用する際の注意点については,「スパイク時系列の潜時を補正して時間ヒストグラムを最適化する方法」と題して9月に名古屋で行われた日本神経回路学会第16回全国大会にて報告した.ヒストグラムのビン幅を場所毎に変化させる研究課題[可変幅PSTHの適応的探索のアルゴリズム]については,国際学会Computational and Systems Neuroscience 2007(米国・ソルトレークシティー)にて報告した.本研究課題については引き続き19年度の課題として行い,論文発表を行う予定である.
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