研究概要 |
1.分子実験 呉書平氏(台湾大学)と亀田勇一氏(京都大学)の尽力があって,Satsuma属カタツムリの分子系統解析が完了し,左巻きの種が複数回起源したことを示す画期的な成果が得られた。このことは,セダカヘビ類による継続的な方向性選択を受けて左巻きの種が分化したとする仮説を支持する。 2.野外調査 石垣島,西表島,与那国島において野外調査をおこない,対象生物の野外生態に関する知見の収集につとめた。得られた知見のひとつは,実験によって確認されていたSatsuma属のイッシキマイマイによる対セダカヘビ防御としての自切の痕跡を,野外個体群において高い頻度で確認できたことである。これは,実験条件下で見られた被食防御行動が野外でも有効に機能していることを証明すると同時に,イッシキマイマイに対してセダカヘビが強力な捕食圧をかけていることを示唆する。このことは,セダカヘビ類とSatsuma属カタツムリの間に密接な相互作用があることを証明するものである。 3.論文執筆 副産物的な研究成果を発表した(Hoso 2007)。さらに,雑誌からの招待を受けて研究の概要を紹介する記事を発表した(細 2007)。
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