研究課題
活性化血小板は、動的にアクチン細胞骨格を再構成し、血管への粘着や凝集の反応を引き起こす。このアクチン細胞骨格の再構成には、低分子量Gタンパク質RhoAが関与している事が示されて来た。本研究において、RhoAの血小板におけるエフェクター分子として、2種類のフォルミンタンパク質、mDia1およびDaam1が同定された。フォルミンタンパク質によって細胞質中で重合されたアクチンの量をビーズを用いて半定量的に解析するアッセイ系を新規に確立し、このアッセイ系を用いて両分子がともに細胞質中でアクチンを重合する活性を持つことが確認された。さらに、mDial及びDaam1のアクチン重合活性は、阻害的な分子内結合が活性型Rhoによって解き放たれることにより発揮されることが分かり、Rhoによって直接的に制御されている事が証明された。また、アゴニストによって活性化された血小板中で、Daam1とRhoAが複合体を形成し、その複合体がアクチンを重合する活性を持っていることも示された。これらのことより、活性化血小板中において、活性型になったRhoAがフォルミンと複合体を形成してアクチン細胞骨格を再構成する反応に関与している事が考えられる。さらに、Daam1の主たるアクチン重合ドメインであるFH2ドメインの立体構造を、X線構造解析により解明して報告した。本研究の成果は、血小板の形態変化を司る分子機構を明らかにしたもので、血栓止血学及び細胞生物学(特に細胞骨格制御の分子機構解明)に寄与したといえる。
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Journal of Biological chemistry 283
ページ: 8746-8755
Genes to Cells 12
ページ: 1255-1265