研究課題
コバルト触媒を用いた第一級、第二級ハロゲン化アルキルと臭化1-トリメチルシリルエテニルマグネシウムあるいは臭化2-トリメチルシリルエチニルマグネシウムの交差カップリング反応コバルト錯体を用い、既存の反応とは一線を画した新形式の反応の開発を目指した。そして、1年目の研究課題に取り組む中、コバルト触媒によるハロゲン化アルキルのアルケニル化、アルキニル化反応について見いだした。ハロゲン化アルキルのアリール化、アルキル化反応と比較してアルケニル化ならびにアルキニル化反応の報告例は少ない。特に第二級ハロゲン化アルキルに対する反応はほとんど例がない。したがってアルケニル化、アルキニル化反応を開発することができればハロゲン化アルキルの交差カップリング反応の適用範囲を飛躍的に拡大できると考えられる。そこでコバルト触媒によるアルケニル化、アルキニル化反応の検討を行った。20あるいは40モル%のコバルトアセチルアセトナート存在下、ハロゲン化アルキルに対して3当量あるいは4当量の臭化1-トリメチルシリルエテニルマグネシウムあるいは臭化2-トリメチルシリルエチニルマグネシウムをTMEDA溶媒中室温で作用させると対応するアルケニル化体、アルキニル化体が収率よく得られた。本反応は第一級ハロゲン化アルキルだけでなく第二級ハロゲン化アルキルにも適用可能である。本反応系中ではコバルト錯体からハロゲン化アルキルへの一電子移動によりアルキルラジカルが発生していると考えられる。実際、6-ハロ-1-ヘキセン誘導体を反応させると環化アルケニル化あるいは環化アルキニル化生成物が得られた。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (3件)
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