多くの分泌タンパク質や膜タンパク質細胞外ドメインは酸化的フォールディングを経て生物学的活性を有する三次元構造へと折り畳まれます。大腸菌はタンパク質ジスルフィド結合形成と組み換えを触媒する一連のDsb酵素を有しています。ペリプラズム酵素DsbAが自身のジスルフィド結合を基質タンパク質に導入し、膜タンパク質DsbBがDsbAを再活性化します。DsbBは膜4回貫通型の膜タンパク質で活性に必須な2組のシステインペア(Cys41/Cys44及びCys104/Cys130)をそれぞれN末端側ペリプラズムループとC末端側ペリプラズムループに有します。加えて細胞質側にNおよびC末端と短いループが存在します。 我々は細胞質ループ領域の変異解析を行い、DsbBの酵素活性が細胞質ループにより制御されていることを発見しました。細胞質ループ変異DsbBは、酵素反応中に一時的に形成されるペリプラズムループ間のジスルフィド結合(Cys41/Cys130ジスルフィド結合)を恒常的に形成、保持します。同時に野生型で同じく一過的に生じることがわかっている還元型Cys44残基によるユビキノンのスペクトル変化も安定に観測されました。このような活性部位ジスルフィド結合の組み換えが起こっているDsbB変異体ではその活性が大きく減少していることが明らかとなりました。つまり、細胞質ループ領域は活性部位システイン残基が速やかに酵素反応を開始できる配置/配向を保つ役割を持つと考えられます。
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