研究概要 |
Laurent双直交多項式に付随する離散可積分系である離散時間相対論的戸田分子方程式に対して,ある平面グラフを用いた解釈を与えた.具体的には以下の通りである.Laurent双直交多項式を別のLaurent双直交多項式に写す変換としてChristoffel変換とGeronimus変換があり,この二つの変換の両立条件として離散時間相対論的戸田分子方程式が現れることが知られている.一方でLaurent双直交多項式の持つ様々な性質は組合せ論的な対象であるSchroder路の言葉で説明され,その根底にはLaurent双直交多項式に対応する線形汎関数のモーメントがあるグラフの上のSchroder路を全て数え上げることにより,すなわち「グラフの重み」により計算できるという事実がある.そこで(1)離散時間相対論的戸田分子方程式を組合せ論の立場から解釈するために,その従属変数を枝のラベルとして持つ平面グラフを導入した.特にその重みがLaurent双直交多項式に対応する線形汎関数のモーメントに一致することを示した.(2)離散時間相対論的戸田分子方程式の漸化式と等価なものとして,グラフの重みの満たすべき等式を導出した.またその事実に対してグラフ上の路の間の全単射などを用いた組合せ論的な(bijective)な証明を与えた.(3)同様の考察を,対称な直交多項式とそれに付随する離散時間半無限Lotka-Volterra方程式に対しても行った.特にそれに対応するものとして方程式の従属変数を枝のラベルに持つ平面グラフを導入した.また方程式の漸化式と等価なものとしてグラフの重みの満たすべき等式を導出し,それに対して組合せ論的な証明を与えた.
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