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2007 年度 実績報告書

メラネシアにおけるキリスト教の展開と宗教観に関する人類学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 06J03691
研究機関筑波大学

研究代表者

石森 大知  筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 特別研究員(PD)

キーワードメラネシア / キリスト教受容 / 宗教と信仰 / 精神世界 / 新族組織の変容 / ソロモン諸島
研究概要

年度のはじめより、宗教人類学や宗教社会学に関する文献を広く検討し、本研究の学際的な視点の構築をおこなってきた。それに加えて、平成19年9月から平成20年3月にかけて、アメリカ合衆国のハワイ大学人類学部(Department of Anthropology, University of Hawaii)および東西研究センター(East-WestCenter)にて、メラネシアにおけるキリスト教受容と宗教観の変容についての文献・資料の調査収集をおこなった。以上の調査研究の結果として、つぎのことが明らかとなった。
従来の研究における宗教概念に従えば、ギアツの定義にも明確に表れているように、宗教と信仰は同一視されてきた。そのため、キリスト教受容に関する人類学的研究は、信仰という精神世界にのみ焦点をあて、それ以外の事象を不問にしてきた。しかし、ソロモン諸島のニュージョージア島では、改宗から約100年が経過した現在、伝統的な慣行や制度のなかにもキリスト教的な規律や価値観が強く反映されている。たとえば、キリスト教の神と息子に表される父子関係が重要視された結果、それを集団の構成原理に導入する動きが生じ、かつては双系的であった親族集団のあり方が変容しつつある。また、世襲的なチーフの権威が弱体化する一方で、キリスト教の聖職者による発言力が確実に増大している。これらの事例を収集・整理し、従来の研究を踏まえた考察をとおして、キリスト教の影響は、精神世界にとどまるものではなく、当該社会の秩序維持にかかわる問題として捉える必要があることが明らかとなった。
なお、以上の研究成果を学術論文としてまとめ、査読付きの学術雑誌であるPeople and Culture in Oceania,『南方文化』に投稿し、受理された。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 土着主義運動論の展開とその批判的考察-ソロモン諸島クリスチャン・フェローシップ教会の事例2007

    • 著者名/発表者名
      石森大知
    • 雑誌名

      『南方文化』 34

      ページ: 91-112

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Disentangling Fundamentalism and Nativistic Movements: An Analysis of the Christian Fellowship Church in the Solomon Islands2007

    • 著者名/発表者名
      Daichi Ishimori
    • 雑誌名

      People and Culture in Oceania 23

      ページ: 33-52

    • 査読あり
  • [学会発表] 太平洋における独立教会とカーゴカルトの比較研究-ソロモン諸島クリチャン・フェローシップ教会の形成と展開2007

    • 著者名/発表者名
      石森大知
    • 学会等名
      「宗教と社会」学会・第15回学術大会
    • 発表場所
      駒澤大学
    • 年月日
      2007-06-09
  • [図書] 「聖霊の革命力と神権統治-ソロモン諸島の独立教会をカリスマ論から読み解く」pp.87-106.塩田光喜編『オセアニアの知と権力』2008

    • 著者名/発表者名
      石森大知
    • 総ページ数
      187
    • 出版者
      アジア経済研究所

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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