• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2008 年度 実績報告書

メラネシアにおけるキリスト教の展開と宗教観に関する人類学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 06J03691
研究機関筑波大学

研究代表者

石森 大知  筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 特別研究員(PD)

キーワードメラネシア / キリスト教信仰 / 宗教概念 / 精神世界 / 聖書の翻訳 / ソロモン諸島
研究概要

本研究は、メラネシアにおけるキリスト教信仰の実態およびそれを支える思考方法や行動規範などに関する民族誌的事例の提示・考察をとおして、同地域の人々が主体的に創造してきた独自の宗教観を明らかにするものである。本年度のはじめより、宗教人類学や宗教社会学、およびキリスト教研究に関する文献を批判的に考察するとともに、本研究員が収集した一次資料の整理分析をとおして、以下のことが明らかとなった。
ソロモン諸島のニュージョージア島において、宗教に該当する現地語の概念はなく、キリスト教という外来語が、「宗教」に近似する概念として用いられている。同島の村落レベルにおいて、「宗教」という語は頻繁に語られるが、その指示対象は信仰よりも行為に偏向しており、これは既存の西洋起源の宗教概念とは異なる。たとえば、教会建物や聖書といった可視的な事象をはじめ、形式的な祈りや説教など、キリスト教関連のさまざまな事象が包含される。その一方で、国家レベルに目を向ければ、紛争や政治的混乱の状況下、「宗教」は、民族の共存や平和構築を目指すスローガンとして言説化されている。たとえば、1つの「宗教」を共有する人々の団結、神のもとでの平等などが語られる。そこにおいて「宗教」とは、具体的な行為を意味しているのではなく、ソロモン諸島の(あるいは全世界的な)キリスト教徒という、象徴的かつ包括的な意味が付与されている。このように「宗教」という語をめぐる状況は複層的であるとともに、西洋起源の宗教概念がそのまま受容されているわけではないことが明らかとなった。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] ソロモン諸島の「聖霊の教会」と憑依現象-クリスチャン・フェローシップ教会における過去と現在2008

    • 著者名/発表者名
      石森大知
    • 雑誌名

      宗教と社会 14

      ページ: 3-22

    • 査読あり
  • [学会発表] マナと聖霊-メラネシアにおける「超自然的力」の諸相2008

    • 著者名/発表者名
      石森大知
    • 学会等名
      日本文化人類学会・第42回研究大会
    • 発表場所
      京都大学
    • 年月日
      2008-05-31
  • [図書] 太平洋島嶼諸国の知識社会化と政治・社会変容2009

    • 著者名/発表者名
      石森大知
    • 出版者
      アジア経済研究所(印刷中)

URL: 

公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi