研究概要 |
炭素材料化に適したホスト骨格を選定するために、ヘキサフェニルベンゼン、ヘキサキス(フェニルエチニル)ベンゼン、1,3,5-トリス(フェニルエチニル)ベンゼンの骨格を有する共役系化合物を合成し、熱重量示唆熱分析から、1,3,5-トリス(フェニルエチニル)ベンゼンが特に900℃炭素化収率が高く、且つ発熱挙動が穏やかであることを見出し、この骨格に対して、シアノ基、ピリジル基、ピリミジル基、水酸基、更にはカルボン酸やボロン酸を放射状に3ヵ所ずつ有するホスト分子の高収率合成に成功した。 多孔質の有機-金属配位結合ポリマーを構築するために、各ホスト分子に対して、酢酸銅や塩化銅を主に用い錯体化を試みた。そして1,3,5-トリス(p-カルボキシフェニルエチニル)ベンゼンとそのカリウム塩からミクロ孔性、メソ孔性の配位性超分子を得ることに成功したことから、カルボン酸ホストが共役系ホストから得られる安定な有機-金属配位結合ポリマーを導くためにとりわけ優れていることを見出した。 得られたミクロ孔性、メソ孔性配位結合性ポリマーに対して室温から900℃炭素化までの段階焼成を行い、窒素吸脱着測定およびSEM観察から熱的挙動を調べたところ、メソ孔の形状は炭素化前後で保たれ、一方でミクロ孔容量は炭素前駆体の空孔特性に限らず増加したことから、有機-金属配位結合ポリマーの空孔特性に対してさらに炭素化によって引き起こされるミクロ孔特性が加算された細孔特性を有する炭素材料が得られることを見出した。
|