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2008 年度 実績報告書

酸化ストレス応答における転写因子Nrf1とNrf2の機能的協調と差異の解析

研究課題

研究課題/領域番号 06J03992
研究機関筑波大学

研究代表者

大辻 摩希子  筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 特別研究員(DC1)

キーワード酸化ストレス / Nrf1 / Nrf2 / ARE / EpRE / Cre-loxP / 条件付きノックアウトマウス / 非アルコール性脂肪肝炎 / mwtallothionein
研究概要

ファミリーを形成する転写因子は,分子進化上,共通の機能を保持しつつ,独自の機能を持つことで多様性を獲得してきたと考えられる.CNCファミリーの中でNrf2は,小Maf群因子とヘテロ2量体を形成し,抗酸化剤応答配列(ARE)に結合して,生体防御遺伝子群の発現を制御している.Nrf1は,Nrf2と分子的に相同性が高く,共に普遍的な発現を示すことから,Nrf2と重複して標的遺伝子の発現を制御すると考えられている.一方,Nrf2遺伝子破壊マウスは,定常状態において肝障害を示さないのに対し,肝臓特異的Nrf1遺伝子破壊マウスは,NASH(非アルコール性脂肪肝炎)様の症状を呈することから,Nrf1はNrf2とは異なる機能をもつことが考えられてきた.本研究では,Nrf1独自の機能を同定することを目的と,肝臓特異的Nrf1遺伝子破壊(Nrf1 cKO)マウスを作製した.本肝臓を用いてマイクロアレイ解析を行ったところ,Nrf1 cKOマウス肝臓においてNrf2/ARE依存的遺伝子群の発現が上昇していた.この発現上昇は,Nrf1とNrf2の二重欠損により観察されなくなることから,Nrf2依存的であり,Nrf1欠損細胞では,Nrf2を活性化する内在性のストレスが生じているものと考えられる.一方,Nrf1に依存した遺伝子の中で,制御領域にARE配列を持つことが報告されていたのは,Metallothionein-1,2遺伝子(MT1,2)であった.レポータ解析において,MT1のAREは,Nrf2ではなく,Nrf1によってより強く転写活性化されることが示された.従って,MT1遺伝子は,Nrf1の独自の標的遺伝子であり,Nrf1は,少なくとも一部,Nrf2とは異なる標的遺伝子の制御により,Nrf1特異的な生命現象を支えていることが示唆される.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Nrf1 and Nrf2 Play Distinct Roles in Activation of Antioxidant Response Element-dependent Genes2008

    • 著者名/発表者名
      Makiko Ohtsuji, Fumiki Katsuoka, Akira Kobayashi, Hiroyuki Aburatani, John D. Hayes, Masayuki Yamamoto
    • 雑誌名

      The Journal of Biological Chemistry 283・48

      ページ: 33554-62

    • 査読あり
  • [学会発表] Nrf1 and Nrf2 Play Distinct Roles in Activation of Antioxidant Response Element-dependent Genes2009

    • 著者名/発表者名
      Ohtsuji M, Katsuoka F, Kobayashi A, Yamamoto M
    • 学会等名
      JST-International Symposium : Molecular Mechanism of Environmental Response to Food and Oxygen III
    • 発表場所
      東北大学・艮陵会館
    • 年月日
      20090209-20090211
  • [学会発表] 転写因子Nrf1特異的遺伝子発現制御メカニズム2008

    • 著者名/発表者名
      大辻摩希子, 勝岡史城, 小林聡, 山本雅之
    • 学会等名
      遺伝情報DECODE・平成20年度合同班会議
    • 発表場所
      ホテルニューアカオ
    • 年月日
      20080630-20080702
  • [学会発表] 転写因子Nrf1とNrf2は抗酸化剤応答配列を介した遺伝子の活性化において異なる機能を果たす2008

    • 著者名/発表者名
      大辻摩希子, 勝岡史城, 小林聡, 山本雅之
    • 学会等名
      第31回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2008-12-10

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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